膝のスポーツ障害

膝のスポーツ障害とは

膝のスポーツ障害の主な種類

  • photo2

    運動やスポーツ活動中にケガをする箇所で、統計上最も多いのが「下半身」です。その中でも「足の関節や膝」が最多で、かつ重症になりやすい傾向があります。 「走る」、「ダッシュ」、「跳ぶ」、「着地」、「急停止」、「切り返し・方向転換」など、スポーツの基本動作には膝の働きが欠かせません。膝にひねりや大きな衝撃を加える動作が多く、とても大きな負荷がかかります。そんなスポーツの中で起こる、前十字靭帯(ACL)損傷、内、外側側副靭帯損傷、ジャンパーズ ニー、半月板損傷、オズグッド病、鵞足炎、タナ障害といった様々な膝のスポーツ障害をこちらでご紹介いたします。

前十字靭帯(ACL)損傷

前十字靭帯は膝の安定性を保つために非常に重要な靭帯となります。
前十字靭帯の損傷は、スキーやバスケットボール、サッカー、バレーなどで起こりやすいです。
ジャンプ後の着地の際の膝を捻る動作や急激な方向転換。 相手との衝突などによって膝関節に異常な回旋力が加わって損傷するのです。
損傷した場合、膝が外れたように感じたり、激しい痛みがともないます。
また徐々に膝が腫れて曲がりが悪くなったりします。膝の関節内に出血が見られる事が大きな特徴となります。

内・外側側副靭帯損傷

膝内側側副靱帯は、膝靱帯損傷のうちで最も頻度が高い症状です。
単に膝の捻挫として取り扱われがちな障害です。初期に適切な固定をすれば修復しやすいものです。
陳旧化した場合は(急性期に処置をせず伸びた状態)、有効な治療法が少ないので受傷時の慎重な取り扱いが必要となります。
ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツでは、膝外側→内側への外力により、関節に外反、または外旋力が強制されたときに膝内側側副靱帯は過緊張して、最終的には断裂しやすくなります。
スキーでの転倒時、ジャンプ着地時、ツイスト時などでも起こりやすい症状です。

半月板損傷

半月板は膝の関節内にある組織です。膝関節は3つの骨からできています。
脛骨の上に大腿骨が乗り、さらに大腿骨の前面には膝蓋骨があります。
半月板は大腿骨と脛骨の間にあります。 内側にあるものを内側半月板、外側にあるものを外側半月板と言います。
半月板は三日月のような形で、膝関節を安定させる役割や、膝関節の衝撃をやわらげるクッションの役割を果たしているのです。
半月板損傷に見られる症状には、キャッチングと呼ばれる膝の屈伸時の違和感が出たり、階段を下りる時に膝が崩れるようなギビングウエイと呼ばれる現象が起こります。
通常、膝の曲げ伸ばしを繰り返していると半月板がうまく滑走して膝の動きがスムーズになるのですが、半月板が傷ついた状態だと、曲げ伸ばしの際にひっかかりが生じます。
それが膝の違和感(キャッチング)として現れます。

ジャンパーズ  ニー

ジャンパーズニーは、特にジャンプ、急ストップを繰り返すスポーツをする選手に多い症状です。正式名称は膝蓋腱炎です。
スポーツ選手にとって膝の痛みはパフォーマンスだけではなく、選手生命に関わる重要な問題となります。
ジャンパーズニーの原因は膝の前後スライドと膝の捻じれが原因だと考えられます。
腿の骨と脛の骨は丁度膝の部分で関節として働いています。 膝関節が前後にスライドし膝蓋腱を引っ張ってしまい、そのままスポーツを続けた結果痛みがでていると考えられます。
また、膝の関節が捻じれると膝蓋腱も捻じれるため、そのままスポーツを続けると炎症が起き痛みに繋がります。 この2点が原因でジャパニーズニーが発症していると考えられます。

オズグッド病

脛骨結節(お皿の下の骨)が徐々に突出して、痛みが生じます。赤く腫れたり、熱を持ったりする場合もあります。
休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。
発育期のスポーツ少年に起こりやすいのが特徴です。
10~15歳の成長期の子供が、跳躍やボールを蹴るスポーツをし過ぎると、発症します。
大腿四頭筋の力は、膝蓋骨を経由して膝を伸展させる力として働きます。
膝を伸ばす力の繰り返しにより、大腿四頭筋が膝蓋腱付着部を介して、脛骨結節を牽引するために、脛骨結節の成長線に過剰な負荷がかかります。 その結果、成長軟骨部が剥離することで発症します。
成長期の一過性の病気ですので、成長が終了すると共にほとんどが改善します。 この時期はスポーツを控えることが大切なのです。

鵞足炎(鵞足炎)

膝の内側には、縫工筋、薄筋、半腱様筋の3つ腱が集中しています。ハムストリングや内転筋などの筋肉につながっています。
腱が集まった状態を後ろ側から見ると、ガチョウの足のような形に見えることから、その部分を「鵞足」と呼びます。
鵞足部分に炎症が起こり、痛みを発生させるものが鵞足炎です。 膝から下を外側にひねる動作をしたときや走りながら方向転換したとき、鵞足部分の腱と骨、または腱同士がこすれます。
その結果、鵞足部が炎症が起こし鵞足炎を発症します。
主に野球、サッカー、バスケットボール、ラグビー、水泳などが鵞足炎を発症しやすいスポーツとなります。
その他、「足の内側に重心がかたよるような間違った靴選び」や、かかとの骨が内側に傾いている「回内足」や「衝撃を吸収できないアスファルトのような硬い地面の走行」、「重心がかたよる坂道の走行」なども鵞足炎を引き起こす原因となります。

タナ障害

膝の関節の内部に関節腔という空間があり、その空間は滑膜ヒダという膜のような壁で仕切られています。
膝蓋骨と大腿骨の間のヒダは、物をのせる棚のように見えるためタナと呼ばれています。
膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、そのタナが膝蓋骨と大腿骨の間に挟まり、 大腿骨の下端の膨らんだ部分とこすれて炎症を起こます。 その中でも、腫れや痛みが出るものをタナ障害と言います。
膝の屈伸と打撲を伴うスポーツ種目によくみられる症状です。
また体質的にタナに厚みがあったり、大きかったりする人は、膝を酷使した状態で膝を強打すると症状が発症しやすいです。
10~20歳代の若い人に多く、男性よりも女性の発症率が高いです。 主に野球、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、陸上競技などの スポーツをされている方が発症しやすいです。